◆「戦国奇譚　妖刀伝」とは◆

（1987～1988年）

 三振りの妖刀を持つ影忍三人と、

魔人織田信長との

闘いを描く戦国伝奇ＯＡＶ。

全三話と短いながらも、

会話のやりとりに深い人物設定や

人間関係を伺わせ、

歴史フィクションとはいえ、史実や忍びという存在を

よく考証されていて、

妄想尽きない非常に魅力的な作品です。

詳しい概要は　wiki　を参照ください。

海外では『Wrath of Ninja / Yotoden』のタイトルでDVD化。

・香澄綾之介（綾女）

 

17歳。

香澄の里に御神刀として伝わる

小太刀を父から託された。

里は陣内に襲われ壊滅。

兄の遺言に従い、

日向、葉隠の里に走る。

 

仇討ちのため女を捨て、男の装いに身を包み

宿敵・信長を討つため戦いに身を投じる。

激情家で身を顧みず戦う姿は、

若くて経験値が浅いせいもあるが、

危うくて刹那的である。

自分を逃がすため囮となった兄（進之介）への恋慕が強い。

 

綾之介の時は、背負う宿命からか、

いつも眉目を寄せており厳しい表情が多い。

誠実で生真面目。優しく、情感が豊かな、

絵に描いたような好青年。

桔梗も一目惚れのようだった。

 

胸のふくらみ、あらわな太もも、

視聴者にはどう見ても女なのだが…

衣装で肩幅・手など女だと分かる部分を

上手く隠しており、

他人にはばれていない。はず……

（左近にはばれてる）

 

本来の綾女は前髪を整えた相当な美女。

幼い頃から一緒だった兄を慕っており、泣き虫。

本編でもよく泣いている。 

 

世間知らずな要素があり、着用している衣装も独特。

彼女だけ忍んでいない派手な衣装を着ているが、

当時、企画されていた要素です。

雑誌ニュータイプ？に採用されなかった衣装候補が

掲載されていたが、全部実装して欲しかった。

・疾風左近（はやてのさこん）

 

日向忍軍ただひとりの生き残り。

綾女と同じく妖刀を所持している。

太刀だが、流線形の部位を持つ

怪しき獲物である。 

日向夢想流の剣の達人。

 

 

 

大木を一撃で胴斬りしたり縦割りするなど、

斬撃の威力はもの凄い。中身はムキムキなのでは？

勘も鋭く常人離れしており、

目をつむっていても手裏剣を避けられる。

 

登場時は、着流しに肩衣という武士の服装。

都会暮らしだったのだろうか…？

永伏山で何故か山賊の頭を張っていた。

  

孤高で他人に無関心、感情をはさまず

真実を見抜く冷静さを持つ。 

…は表の顔で、情け深く、生かすための戦いなら

俺はいくらでも命をかけてよかった

と語った言葉が本心であろう。

 

伊賀の里と命運をともにしようとする陣平や

香澄の里の仇討ちに女を捨てた綾女に

共感を抱けず、理性と感情の間で苦悩する。

プライドも見た目もきちんとしている彼が

妖刀の真の力を開放できず、ボロボロの姿に堕ちて

しまった様子はギャップ萌え、

いや、いたたまれなかった。

 

里が全滅した際の出来事はすごく

知りたいところだったが、

本人は最後まで語らなかったことから

もともと何らかの理由で里から一線置いた立場の、

孤独な人だったのではないか…と思われる 。

・木暮龍馬（こぐれりょうま）：不動龍馬？

 

 

 葉々魂（はがくれ）一番隊隊長、

父親は統領の木暮幻悠斎。

綾之介や左近よりも年長かもしれない。

※他記事・人物紹介では不動と記載。

OAVでの自己紹介では「こぐれ」と名乗っている

 

ため、不動は二つ名なの…かな？

 

 葉々魂の里は組織化されており、綾之介と左近の

驚きからみて、忍びの里としては大規模な戦闘集団であろう。

 

龍馬の獲物は槍。

戦国時代の忍びらしくその闘い方は武士そのもので

あり、戦闘力は影三流の中でも高い。

忍術や体術の名もあるのだろうが、作品中では

紹介されなかったのが残念。

 

里は朧衆・陣内により、要塞ごと壊滅。

生き残った者もいたようだが、

最終回では、生き残ったのは三人との

蘭丸の言葉から、結局龍馬ひとりになってしまったのだろう。

 

妹の桔梗への未練が断ち難く、

強者でありながら心根はどこまでも優しい。

伊賀の里では佳代に不器用ながら

淡い恋心を抱いていたようだが…

生真面目な綾之介・左近と対照的に、

陽気でおおらかな人物。

妖刀伝に従い、使命を全うしようとする…

よりは、

人の気持ちをもてあそぶ妖魔を許せないという気持ちで

闘いに励んでいるようだ。

 

◆綾之介の旅途◆（～伊賀まで）

出典元：「戦国時代勢力図と各大名の動向ブログ」

https://sengokumap.net/

 

※尾張は信長の支配国です。

伊賀の後、

伊賀→（高野山？）京都（本能寺）→飛騨→近江（安土城）

と移動しています。

 

 

 

◆妄想のための空白の期間を考証する◆

 

永伏山で左近と出会った時（？月）、日向に行ったのは約1か月前と綾之介は言っていました。

山道とはいえ忍者の足は常人より優れているはずなので、　

現在の地図になるが仮の目的地を立てて距離を確認したところ、

 

香澄→日向→永伏山まで約半月で踏破できそうな気がします。

あれ？半月～1.5か月くらい余りが出るゆっくりな旅路なような…？永伏山を夏とするとそれはそれで年表がおかしくなる。

とは思いましたが、綾之介が追っ手を巻くために香澄・日向の

間にまたがる北アルプスに挑んだのであれば、

それくらいかかっても仕方ないかも。

 

最後の生き残りとなってひとり山中で過ごす綾之介の胸中が偲ばれますな……

現在は中部山岳国立公園と呼ばれている地域となってます。

 

ともあれ、私が重要視しているのは　綾之介と左近がふたりきりの期間（永伏山→葉々魂　の道中）です。

 蝉の鳴く永伏山を離れて、葉々魂に着いたら蛍がいたので、１か月もかかってないよーな感じなんですが…

ふたりで平地の街道（あんな目立つところ（笑））物見遊山で歩いてたし…